プロ野球コーチの戦力外通告|選手とは違う「もう一つの厳しい世界」

野球

前回は、プロ野球選手の「戦力外通告」について、表舞台と、その裏側について考えてみました。

今回は、その続編です。

テーマは、

「コーチの戦力外通告」

です。

プロ野球のコーチというと、どこか華やかなイメージがあります。

現役時代に活躍した選手が、引退後に指導者として球団に戻ってくる。

若手選手を育てる。

一軍選手の技術をさらに伸ばす。

チームを強くする。

私自身も野球をやってきたので、コーチという仕事には「野球を極めた人が就く仕事」というイメージがあります。

ところが、実際にはコーチも球団に所属する「組織の一員」です。

当然、チームの方針や監督・首脳陣の交代、球団の編成などによって、立場が変わることがあります。

今回は、そんな選手とは少し違うコーチの世界について考えてみます。

コーチの戦力外通告は、選手とは少し違う

選手の場合、成績や年齢、故障、将来性など、比較的分かりやすい判断材料があります。

もちろん、それだけで決まるわけではありません。

しかし、コーチの場合は少し複雑です。

コーチ自身が選手としてプレーするわけではありません。

そのため、

「今年何本打った」
「何勝した」

のように、単純な数字だけでは評価できません。

選手をどう育てたのか。

チームの方針と指導方法が合っているのか。

若手育成に貢献できているのか。

監督や他のコーチと連携できているのか。

球団が目指すチーム作りに合っているのか。

こうしたさまざまな要素が関係してきます。

つまり、

選手は「個人の成績」が大きな評価材料になる。

一方で、

コーチは「チームの中でどのような役割を果たしたか」が重要になる。

ここが大きな違いなのではないでしょうか。

コーチの人事が動くのはシーズン終了後だけではない

プロ野球では、シーズン終了後に監督やコーチの人事が大きく動くことがあります。

特にクライマックスシリーズに進出するチームの場合、レギュラーシーズンが終わっても、まだ戦いが続きます。

そのため、球団によってはポストシーズンの結果を見ながら、次のシーズンに向けた編成や首脳陣の人事を進めることになります。

一方、シーズン終盤から来季を見据えた動きが始まるケースもあります。

つまり、

「コーチの戦力外通告は、この日に一斉に行われる」

という単純なものではありません。

球団の状況や監督人事、編成方針などによって、動くタイミングは変わります。

ここが選手の戦力外通告とは少し違うところです。

「優秀なコーチ=必ず残る」ではない

ここが、私がコーチの世界で特に難しいと思うところです。

仮に指導力のあるコーチだったとしても、

その球団の方針と合っているか?

という問題があります。

例えば、球団が若手育成を重視しているとします。

その場合、若手選手を育てるための指導方針や、データを活用した育成方法などが求められるかもしれません。

一方で、別の球団では違った考え方をしている可能性があります。

つまり、

「野球を教える能力」だけではなく、「球団の方向性との相性」も重要になる。

これは、一般企業にも似ています。

どれだけ仕事ができる人でも、会社の方針が変われば、求められる役割も変わります。

プロ野球も一つの組織です。

勝つためにチームを作る以上、組織の方向性が変われば、必要とされる人材も変わっていきます。

監督が変わると、コーチも変わる

プロ野球では、監督が交代するとコーチ陣が大きく変わることがあります。

これは、ある意味では当然なのかもしれません。

監督には、

「こういう野球をしたい」

という考えがあります。

その野球を実現するためには、

「こういう指導をしてほしい」

というコーチ陣が必要になります。

監督が変われば、チームの戦術や育成方針が変わることもあります。

そうなれば、コーチの人選も変わってくる。

企業で言えば、

「経営方針が変わったので、管理職の役割も見直します」

というのに近いのかもしれません。

だからこそ、コーチにとっては、

自分自身が優秀かどうかだけではなく、今の組織で必要とされているか

という問題がついて回ります。

選手としての実績が、そのままコーチとしての能力になるわけではない

ここも野球の面白いところです。

現役時代にスター選手だった人が、必ず名コーチになるとは限りません。

逆に、現役時代にはそこまで目立たなかった選手が、指導者として大きな才能を発揮することもあります。

なぜなら、

「自分ができること」と「人に教えること」は別だからです。

自分では簡単にできていたことを、言葉にして説明するのは難しい。

選手の感覚を理解する。

選手それぞれの性格を見極める。

失敗した選手にどう声をかけるか考える。

選手自身に考えさせる。

必要なときには厳しく指導する。

これは、プレーヤーとしての能力とは別の能力です。

体育教師を経験した私自身も、ここは強く感じます。

「自分ができる」と「相手にできるようにさせる」は、全く同じではありません。

これは野球だけではなく、教育やスポーツ指導全般に言えることだと思います。

コーチは「選手を育てる仕事」だからこそ難しい

選手は、自分自身の成績が基本的には評価されます。

しかしコーチは、自分が打席に立つわけでも、マウンドに上がるわけでもありません。

選手の成長という、すぐには結果が出ないものに関わります。

例えば、20歳の若手選手を指導したとしても、

その選手が一軍で活躍するのは数年後かもしれません。

そのとき、現在のコーチが球団にいるとは限りません。

つまり、

自分が積み上げた仕事の成果を、自分自身が受け取れないこともある。

これはコーチという仕事の難しさの一つだと思います。

「野球が上手い」と「人を育てる」は別の能力

私は、この話を考えていると学校教育にも似ていると思います。

スポーツが上手い人が、必ずしも良い指導者になるわけではありません。

知識が豊富な人が、必ずしも分かりやすく教えられるわけでもありません。

そして、

指導する側が「正しい」と思っていることが、そのまま選手にとって正しいとは限りません。

選手にも、それぞれ性格があります。

理解するスピードも違います。

体格も違います。

得意なことも違います。

だからコーチには、

「自分の成功体験を教える能力」だけではなく、「目の前の選手に合わせて指導する能力」

が必要なのだと思います。

コーチの戦力外通告は「能力がない」という意味ではない

ここは、今回の記事で一番伝えたいところです。

コーチが契約を更新されなかったからといって、

「そのコーチには指導力がなかった」

と単純に決めつけることはできません。

球団の方針が変わった。

監督が交代した。

育成方針が変わった。

コーチ陣の構成を見直した。

そういった組織側の事情も考えられます。

つまり、

「必要とされなくなった」ことと「能力がない」ことは、必ずしも同じではありません。

これは、会社員にも通じる話かもしれません。

どれだけ仕事ができる人でも、会社の方向性が変われば、以前と同じように評価されるとは限りません。

プロ野球のコーチも「組織の中で働く人」

選手時代には、

「自分が結果を出せばいい」

という部分があります。

しかしコーチになると、そうはいきません。

監督。

他のコーチ。

選手。

球団スタッフ。

フロント。

さまざまな人と関わりながら、チームを作っていきます。

だからコーチという仕事は、

野球の専門家であると同時に、組織の一員でもある。

私はここが、選手とは大きく違うところだと思います。

まとめ|コーチの世界にも「組織」という難しさがある

今回は、プロ野球のコーチの戦力外通告について考えてみました。

ポイントをまとめると、

  • コーチの評価は選手のように数字だけでは判断できない
  • 球団の方針や監督交代によって人事が変わることがある
  • 優秀な指導者でも、組織の方向性と合わなければ立場が変わる可能性がある
  • 現役時代の実績と、指導者としての能力は別物
  • コーチには「人を育てる」という難しさがある
  • 戦力外通告=能力がない、と単純には言えない

こうして考えると、

プロ野球のコーチも、実はかなり厳しい世界です。

選手が引退したら終わり、ではありません。

そこから指導者として新しい競争が始まります。

そして、その競争では「野球が上手かった」という実績だけではなく、

人を育てる力、組織との相性、チームの方針への適応力

など、別の能力が求められます。

華やかなプロ野球の世界。

その裏側には、選手だけではなく、コーチやスタッフなど、たくさんの人たちの仕事があります。

次にプロ野球を見るときには、選手だけではなく、

「このチームを支えているコーチたちは、どんな仕事をしているんだろう?」

と少し違った視点で見てみるのも面白いかもしれません。

↓この記事を書いた人
ゴリゴリ☆ドラぷ~

ゴリゴリ☆ドラぷ~について

はじめまして。「ゴリゴリ☆ドラぷ~の野球塾」を運営しています。

幼い頃から野球が好きで、小学生から高校生まで野球を続けてきました。体育大学を卒業し、体育教師として学校現場にも携わってきました。現在も草野球を楽しんでいます。

このブログでは、これまでの野球経験をもとに、野球初心者にも分かりやすく、野球をもっと楽しめる情報を発信しています。

ルールや技術、野球用具だけでなく、高校野球やプロ野球、野球の歴史・雑学、スポーツや教育について感じたことなども、自分自身の経験や視点を交えながら紹介していきます。

「野球って、けっこう面白い。」

そんなふうに思ってもらえるブログを目指しています。

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