5月に巨人の秋広優人選手と大江竜聖投手、ソフトバンクの砂川リチャード選手(登録名はリチャード)との2対1の電撃トレードが成立。
それから一月が経ち、トレード失敗ではなかったかとの声もあがっている。
この”トレード”問題。
メジャーリーグではもっと活発な動きがあるようですが、今回は日本プロ野球で行われるものを
どんなタイミングで、どういう理由で行われ
ファンの心理はどうなのか?というところまで
トレードの裏舞台を深堀していきたいと思います。
そもそも、”トレード”って何?
トレードとは、球団同士が「戦力の補強」や「選手の活躍の場を広げる」などの目的で
選手を交換する仕組みのことです。
日本プロ野球のトレードは、文化や制度の違いからメジャーリーグほど活発に行われているわけではありません。
その理由として、FA(フリーエージェント)補償制度による金銭等の補償や
ドラフト指名権を渡すことが出来ないなど
トレードの自由度が抑えられているという事情があります。
トレードが可能な期間は、一定期間を除き年中OK!
「いつでも自由に」という訳ではないものの、8月〜シーズン終了までを除けば
通常条件では、
レギュラーシーズン(3月末~10月前半)終了日の翌日~翌年7月31日まで
この期間内は、球団間で選手契約のトレードが可能です 。
反対に、トレードできない期間(禁止期間)は、8月1日〜レギュラーシーズン最終日と決められています。
ただし例外として、ウェイバー公示された選手については、禁止期間中でも移籍可能です。
また、過去の特例措置としてトレード期限が延長された年もあります。
2020年:コロナ禍で開幕延期 → 9月30日まで
2021年:東京五輪開催のため → 8月31日まで
トレードで期待されること
① チームの戦力バランスの調整
- 弱点補強(例:先発投手が足りない → 他球団から獲得)
- ポジションの過剰解消(例:内野手が多すぎる → 外野手と交換)
例えば… 外野手が豊富な球団と、投手が余っている球団のニーズが一致するケース。
② 若手や控え選手にチャンスを与える
- 自球団では出場機会が限られる選手を、他球団で活かしてもらう。
- 特にベテランや伸び悩んでいる若手に対し、「環境を変えて再起」を期待。
例えば… 移籍後にブレイクする選手も少なくない(元阪神の陽川尚将など)。
③ 年俸・契約上の事情
- 高年俸選手を放出して年俸総額の調整をしたい球団。
- 金銭的に余裕がある球団が即戦力の補強を狙うケースもある。
④ 選手本人の希望やモチベーション
- 出場機会や地元志向などで、選手本人が移籍を希望することもある。
- 球団側が選手のキャリアを考えて容認する「人的配慮型」トレードもある。
⑤ チーム方針の転換
- 再建期の球団が「ベテラン放出+若手獲得」に動くケース。
- 優勝狙いの球団が「即戦力を求める」動き。
例えば… 戦力リセット中の球団と、優勝狙いの球団との利害が一致した。
トレードが成立しない場合もある
トレードは「球団同士の交渉によって成り立つもの」なので、条件が折り合わなければ普通に不成立となります。
<トレードが成立しない主な理由>
① 評価が一致しない(釣り合わない)
- ある球団が出したい選手に対して、他球団が「価値が合わない」と判断。
- 「この選手には見合わない」として拒否されるケース。
例えば… 「A投手を欲しいが、相手が要求してきたのは主力野手」⇒ 断念
② 選手本人の事情・拒否
- 本人が移籍を望まない場合、契約内容や球団方針によっては破談になることもある。
- 特にFA権取得済選手は「トレード拒否条項(契約制限)」を持つこともある。
例えば… 家族の事情、地元から離れたくない、移籍先の球団に不安など。
③ 年俸・契約条件の不一致
- 交渉した選手の年俸が高すぎる場合、獲得側が断念。
- 年俸の「負担割合」が折り合わないケースもある。
例えば… 「年俸1億のうち半分を払ってくれるなら引き取る」⇒ 相手が拒否
④ タイミングの問題(トレード期限など)
- トレード期限(通常7月31日)を過ぎると契約譲渡は原則できません。
- 期限ギリギリで交渉が間に合わなかったパターンもあります。
⑤ チーム事情の急変
- 怪我人発生、順位争いの激化などで「放出予定だった選手が必要になる」。
- 一度は進んでいた交渉が白紙に戻ることもある。
球団ファンの心理
球団ファンといっても、やっぱり一推しの選手はいますよね。
となると、突然のトレードに戸惑いもあると思います。
詳しく見ていくと、
① ショック・悲しみ(主力選手・人気選手の放出時)
- 「なんで出すの!?」「大事な戦力なのに…」
- 長年応援してきた選手が突然いなくなると、裏切られたように感じることもある。
- 特に生え抜き選手や「地元出身選手」には思い入れが強く、反発も起きやすい。
例えば… SNSでは「◯◯が出されたなんて信じられない…」といった声が多く見られます。
② 期待と希望(補強側・再起を狙う選手の場合)
- 「あの選手が来るのは戦力アップだ!」
- 出場機会に恵まれなかった選手が移籍して活躍することへの期待。
- 「うちのチームでブレイクしてほしい!」という応援ムードになることもある。
③ 納得・理解(戦略的判断を受け入れるファン)
- 「まあ、チーム事情を考えれば仕方ないよな」
- 冷静なファンは、「将来性のある若手を取った」とか「再建期だから」といった背景を理解して受け入れる。
具体的には、「感情的には寂しいけど、チームが強くなるなら仕方ない」と思うタイプですね。
④ 怒り・不信感(不透明なトレードに対して)
- 「なぜこの選手を出したのか説明がほしい」
- 不明瞭な意図のトレードや、一方的に不利に見える内容にはファンが強く反発。
- 「球団フロントに不満」「采配に疑問」という形で広がることもある。
⑤ 応援継続・切り替え(選手個人のファン)
- 「移籍しても応援する!」という声も多く、選手個人のファンは移籍先のチームを見続けることも。
- 一方で、「もうこの球団の応援やめる」と離脱するファンも一定数います。
まとめ
トレードとは、球団同士で選手を交換する仕組みのことを言います。
そしてトレードは、あくまでも「球団同士の合意+選手側の同意(場合によっては)」で成り立つ
取引のため、成立しない場合もあります。
☆トレードの目的
目的 | 内容 |
戦力補強 | 弱点の埋め合わせや戦力の最適化 |
出場機会の提供 | 選手の成長や再起を促す |
経済的理由 | 年俸や契約バランスの調整 |
選手の希望 | 本人の意向を尊重する移籍 |
チーム方針 | 世代交代や優勝狙いによる補強 |
☆トレードの期間
期間 | 内容 |
譲渡可能期間 | レギュラーシーズン終了翌日〜翌年7月31日 |
禁止期間 | 8月1日〜レギュラーシーズン終了日(例外:ウェイバー選手は可) |
延長特例 | 2020年(〜9/30)、2021年(〜8/31) |
☆ファンの心理
ポジティブ | ネガティブ |
「いい補強!優勝狙えるぞ」 | 「なんでこの選手を出したんだ…」 |
「新天地で頑張って!」 | 「編成下手すぎでは?」 |
「この選手に期待してる」 | 「本当に納得いかない」 |
タイプ | 感情傾向 |
理性派 | 「戦略として理解」「将来性重視」 |
感情派 | 「ショック」「寂しい」「怒り」 |
応援派 | 「移籍先でも応援する」 |
不信派 | 「フロントに疑問」「ファンやめたい」 |
選手とファンの絆が強いからこそ、トレードは嬉しさと寂しさが入り混じる複雑な出来事なんですね。
コメント